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3年前(平成27年9月)の当コラム「弥栄の恵みをいただき」において、「本市は、かつて度重なる異常渇水に苦しんでいたが、広島県境からの用水供給のおかげで、水に恵まれた地域となり今日に至っている」旨、記していました。
先般1月11日木曜日の夜、大島大橋の下に敷設されている柳井地域広域水道企業団の送水管が破損したため、周防大島ほぼ全域へ送水できなくなったとの報告を受けました。昼夜を分かたずの復旧作業の後、13日土曜日の夜には送水を再開できましたが、長時間の断水により、周防大島町民、事業者の皆さまへは多大なるご不便、ご迷惑をおかけしました。また、停電もしていない状況のなか水が止まるだけで日常生活に大きな影響があることを目の当たりにもしました。
本市は、給水活動、ペットボトル2,040本の送付、アクアヒルやないのお風呂の開放、市内での給水所開設など最大限の支援をとの思いで事態にあたりました。一方で、町民の方々からは、水の有難さが改めてわかった、お風呂が有難かったという声も。給水活動中の本市職員へ、ご年配の方が涙ながらに感謝の言葉をかけてくださいました。
一方、周防大島町では、高齢者世帯への水の配布など、町民の方々の支えあいを随所に見ることができました。その姿に、約150年前の四境の役での幕府軍撃退の際、世良修蔵ら率いる第二奇兵隊などの活躍の背景にあったと伝えられる島民の献身的な働きや支えを思い起こさせるほど、私は感銘を受けたのです。
事故原因は調査中ですが、弥栄ダムから一本の管で日積浄水場へ、そこから旧東和町や上関町まで各一本の管で送水していることを考えると、改めて本地域が冒頭に記したような水環境にあることを再認識しました。
南海トラフ巨大地震などによる災害の発生も予測される中、今回の断水のような状況が生じることも容易に想像できます。そのようなときに備え、この地域に古くから受け継がれている支えあいの精神から学んでいかねばと思うのです。