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特集
やまぐちフラワーランドの舞台裏
-庭園見守る隠れた主役-
春夏秋冬、どの季節でも約100種類、10万本の草花を楽しんでいただける「やまぐちフラワーランド」。約3.5haの広大な庭園をどうやって維持・管理しているかご存知ですか。1年間に植え替える40万本もの花はどこで栽培されているのでしょうか。
除草や水やり、植替え、剪定などの作業は、どのように進められているのでしょうか。市民のみなさんのそんな素朴な疑問にお答えします。
●問い合わせ
やまぐちフラワーランド 電話24-1187
やまぐちフラワーランドの施設概要
「歴史と自然に囲まれた、ちょっとおしゃれな花と緑の庭園」として、平成18年4月21日に開園しました。花のある生活や花の楽しみ方の提案を通じて、花の消費拡大を目指すことを目的に、山口県が建設した施設です。柳井市が100%出資する(一財)やない花のまちづくり振興財団が、指定管理を受け運営しています。隣接する山口県花き振興センターや山間部を含めた総面積は約15ha。平成30年3月14日には、累計入園者数が140万人を超えました。
フラワーランドの花苗の育ての親
育苗サポーター
山本英さん(72歳)の朝一番の仕事は、水やりです。広さ約230平方メートルのビニールハウスには、黒いポットに入った花苗がずらりと並び、1時間あまりにわたって、慎重な手つきでホース先端のハス口をポット苗に向かって傾けます。真夏は朝だけでなく、夕刻にも同じ作業が待っています。
「フラワーランドに出荷する花苗は、徒長(※)してはいけません。しっかりと根を張って、横に広がるように育てます。コツは、水やりと遮光かな。遮光が足らないと葉が焼けるし、逆に、遮光し過ぎると、苗が上に伸びます。なかなか頃合いが難しい」と語る山本さんは、実は花作りは素人だったそうです。
やまぐちフラワーランドが開園した平成18年、山本さんはフラワーランド向けの花苗の生産を始めました。
花苗づくりは、まず、幼苗を黒いポットに移植する鉢上げ作業に始まります。鉢上げ後は、気候に応じてていねいに水やりし、JAや県農林水産事務所の職員らの助言・指導を受けながら、薬剤散布などの病害虫対策を施します。納入の1週間前には、指示されたとおりに生育しているかどうか検品を受け、合格したものだけが出荷されます。
山本さんは、妻の美知子さん(69歳)と2人で今では年に約3万本、月に約3千本の花苗を育てています。
「花壇の植え替え作業が終了した直後に園内を歩くと、どの苗が自分で育てた苗か見分けがつきます」と、山本さんの顔から笑みがこぼれました。
山本さんのように、フラワーランド向けの花苗を栽培している育苗サポーターは現在、3団体と13人。この生産体制で、年間約40万本もの花苗をフラワーランドに出荷しています。
※徒長:窒素肥料が多すぎたり、日光が不足したりして、作物の茎や葉が弱くのびること。
フラワーランドの縁の下の力持ち
柳井市緑化組合
やまぐちフラワーランドでは、年に7回、花壇の大規模な植替え作業を行っています。その作業を一手に引き受けている組織が、柳井市内の造園業者7社で組織されている柳井市緑化組合(杉本進組合長)です。
植替え作業の日には、男女合計で25人前後の作業員が園内に入ります。まず、花壇から咲き終わった花を抜き取り、その後に、肥料や土壌改良剤を加えながら、入念に花壇を耕します。最後に、真っ黒い土がむき出しになった花壇に、次から次へと花苗を植えます。 植え替える花苗は、大半がまだ花をつけていません。苗の入ったケースのラベルを確認しながら、所定の花壇まで花苗を運搬し、指定された花色の苗を、指定された位置に植えていくのは、注意深さが求められる作業です。
植替えは、休園日の木曜日を中心に1週間程度の日程で終了するので、なかなか目にすることはできませんが、実に壮観な風景です。 植替え作業以外にも、芝刈りをはじめとする芝の管理作業、除草作業、樹木の剪定、樹木への薬剤散布など、さまざまな作業を同組合が担っています。
今年6月から、フラワーランド内での作業の責任者、現場代理人を務めるのは濱田智則さん(32歳)です。
「開園中に作業するときは、来園者に迷惑をかけないように、心がけています」と、作業中の心得について語る濱田さん。刈り払い機による芝刈り作業では、機械が小石を弾き飛ばしてしまう可能性があるため、来園者が増えてきたときには、いったん人がいない芝生に移動し、来園者が減ったころを見計らって、元の芝生での作業を再開するように配慮しているそうです。
「花も素晴らしいが、芝生が見事ですね。芝生に見とれてしまいました」。今年5月、芝生の管理には口うるさいはずの、ゴルフ場の関係者が来園し、芝生の管理状況に驚嘆していました。すべては、緑化組合の努力の賜物です。
庭園管理のスペシャリスト
フラワーランド庭園スタッフ
日々、園内を見守っているのは、2人の庭園監督と16人の庭園スタッフ、計18人です。
監督は、1日に何度も園内を巡回しています。どんな作業を優先するべきか、園内を見回りながら作業計画を考えます。
花がら摘みや除草はもちろん、枯れてしまった花苗の補植、花が終わった草花の背丈をハサミで短くし、再び開花を待つ「切り戻し」、肥料の効き目が薄れてきたときの追肥、病害虫対策のための薬剤散布など、庭園スタッフの作業は多種多様です。園内に彩りを添えるプランターへの寄せ植え、軒先に吊るすハンギングバスケットの作製も重要な作業です。また、約300種類に及ぶバラは、愛好家も多く、特に入念に手入れをしています。
簡単そうに見える水やりも、実は満点がとりにくい、奥が深い作業です。鉢植えした植物は水をやりすぎると、根腐れしてしまうので、鉢の中の土の湿り気を指先で確認しながら、土が乾いた鉢植えだけに、慎重な手つきで株元へ水やりします。
もう1つ、庭園スタッフの重要な仕事があります。フラワーランドのシンボル施設である花車(花くるりん)の花の入れ替え作業です。 花車の花は、スポンジにくるみ、専用の樹脂製カセットに入っています。屋外で作業できない雨天の日を選んで、カセットに花苗を装着する作業に取り組み、カセットに入った状態でしばらく水やりをしながら管理し、閉園日に、両面で2,200個を超えるカセットを一斉に入れ替えます。月に1度は、この作業が待ち受けています。
真夏や真冬の屋外での作業は、楽ではありません。黙々と作業に打ち込む監督やスタッフを支えているのは、「私たちがここを守っている」という自負と誇り、そして使命感です。
第27回柳井金魚ちょうちん祭り
82,000人が来場し、今年も盛大に開催。
柳井金魚ちょうちん祭りの本祭りが8月13日に麗都路通りや白壁の町並みで開催されました。約4,000個の金魚ちょうちんが町並みを彩るなか、家族連れや帰省客など約82,000人の人出で賑わいました。
祭りの目玉である巨大金魚ねぶたの引き回しのほか、麗都路通りでは柳扇会による金魚ちょうちん踊り、白壁の町並みでは手裏剣ゲームや矢場、射的など昔ながらの遊びが楽しめる白壁江戸祭りなど多彩な催しで盛り上がりました。
フィナーレには871発のふるさと花火が打ちあがり祭りを締めくくりました。
●問い合わせ
商工観光課
電話22-2111内線363,364
第27回柳井金魚ちょうちん祭り「ふるさと花火募金」の合計額は187,298円でした。ご協力ありがとうございました。